理想的なユーザー行動を促すためのウォークスルー調査

Webサイトのリニューアルを行う際、要件定義を行う前にサイトの課題を調査する必要があります。
課題調査の方法として、以下の2パターンの方法があります。

①定量分析
アクセスログ分析、アンケート調査(数値)、RFM分析など、「数値」を用いて行う分析。

②定性分析
ウォークスルー調査、アンケート(自由記述)、ヒューリスティック調査など、数値では表せない「性質」に着目して行う分析。
今回は②定性分析の『ウォークスルー調査』について解説します!

ウォークスルー調査とは?
ウォークスルー調査とは、『専門家がユーザーの思考を想定しながら、事前に決められたシナリオを基にサイトを利用し、課題を抽出する手法』です。サイトのターゲットやビジネスゴールを把握した上で、実際にそのターゲットがサイトを訪れたときに得たい情報を取得できるのか、ビジネスゴールは達成できるのかを、そのターゲットになったつもりで実際にサイトを操作し、課題を洗い出します。

ウォークスルー調査のポイント
*ポイント①WEBサイトの構造からチェック
そもそもの話になりますが、WEBサイトの構造は『情報構造』『UI/デザイン』『コンテンツ』の軸で構成されています。基本的に『情報構造』『UI/デザイン』『コンテンツ』の組み合わせで出来ていて、サイトの入り口も考えないといけないので『流入』も考慮する、という形になります。

なので、サイト課題を抽出する際もこの4つの項目を軸に調査すると、上手く課題を洗い出すことができます。もしサイト構造を考慮せずに調査をした場合、ターゲットニーズ/ビジネスニーズを満たせない情報構造であっても、ウォークスルー調査をせずに定点で調査してしまうと、コンテンツの内容さえよければ「ニーズを満たせている」という判断になり兼ねないので、必ず上記4つ全ての観点で調査を行います。

*ポイント②ターゲットになりきる
対象のシナリオにおけるターゲットユーザーになりきって、「どんな人が/どこから/どんな心理で/どんな目的をもってサイトを見ているのか」を想定しながらサイトを調査することで、「欲しい情報まで辿り着けない」「コンテンツの遷移が悪い」などの課題点が浮かんできます。サイト調査する時、学生や社会人など自身に近いターゲットであれば想像しやすいですが、医療従事者など特定の業種であった場合、「ターゲットになりきる」ことは実はけっこう難しいのです。自分とは遠い立ち位置のターゲットになりきるために、事前にクライアントへのヒアリングをしっかり行い、ビジネスゴールやターゲット/ニーズを明確化した後、ターゲットのシナリオを策定しておくことが重要になってきます。

おろそかにしない!コンサル視点で見る事前準備
ウォークスルー調査では、適切な示唆を得るために前段のシナリオ策定までの準備がかなり重要になります。

◆ヒアリング
基本的にはヒアリング前に提案事前資料やサイトの現状調査から弊社内でクライアントのビジネスゴールやターゲットを想定し、クライアントに提示します。それを受けて、クライアントの事業としてのビジネスゴールとターゲット、クライアントのサイトへの想いやToBe像などをお伺いします。また、業務やシステムの運用面においてもしっかりとヒアリングを行い、最終的に要件定義を作成する際に運用面も考慮し、実装するべき機能を選定していきます。

◆ビジネスゴール定義/ターゲット・ニーズ定義
ヒアリングを基に、ビジネスゴールとターゲット・ニーズを定義します。ヒアリング時では、クライアント側のビジネスゴールやターゲットに対するイメージがまだボヤっとしていたり、担当者によっては若干違う想いを持っていたりニュアンスの異なる表現をしている場合もありますが、「あなたたちの目指していることは結局こういう事ですよね?」という事をまとめ、クライアントとの認識をすり合わせます。

◆シナリオ策定
選定したターゲットごとに、ターゲットがサイトを閲覧する目的である「ターゲットニーズ」と、企業がターゲットに期待する効果である「ビジネスニーズ」の2つのニーズを踏まえ、理想のサイト行動のシナリオを策定します。ターゲットニーズとビジネスニーズの区別は、かなり注意をして策定を行います。ほとんどのサイトで、「この情報を得たい」「ここに問い合わせをしたい」などのターゲットニーズと、企業側としてユーザーに「このコンテンツも見てほしい」「情報を得るだけでなく、このような考えを持ってもらいたい」などのビジネスニーズが存在します。ビジネスニーズはターゲットニーズではないので、ターゲットに対して強く情報を勧めるのではなく、自然な誘導ができていることが重要となります。これらを踏まえてシナリオを策定することで、ターゲットのニーズもビジネスニーズも満たした、最適なシナリオが策定します。

ターゲットごとのシナリオに沿ってウォークスルー調査を行うことで、「シナリオに沿った情報遷移が出来ていない」「コンテンツが存在しない」「操作がしにくい」などのサイト課題を的確に見つけることができます。

*次回、DX時代におけるウォークスルー調査について解説します!お楽しみに!