新ブランド「Mt.石井スポーツ」を支える全社的なマーケティング施策の見直し

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石井スポーツコーポレートサイト

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石井スポーツウェブショップ

「地球を、楽しもう。」をスローガンに、登山・スキー・アウトドア用品の専門店を全国で展開する老舗として知られるMt.石井スポーツ。
2018年10月にブランド名をICI石井スポーツから「Mt.石井スポーツ」に刷新し、さらなる事業の拡大を目指す同社では、ブランド刷新と同時にコーポレートサイトと自社ECサイトの大幅なリニューアルを実施。
ここではビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(BTC)の支援を通じて、新たな会員制ポイントプログラムを構築するなど、マーケティング施策の強化が図られています。
かつてないインタラクティブなサイトへ移行したことにより、コーポレートサイトへのアクセスは数倍に増加。
また自社ECサイトの売上げも大幅な伸びを示すなど、同社はオムニチャネル戦略の大きな第一歩を踏み出すことに成功しています。

新ブランド「Mt.石井スポーツ」を支える全社的なマーケティング施策の見直し

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川村 尚弘 氏
執行役員 経営企画室 室長

1950年(昭和25年)に登山・スキー靴の製造販売所を開設したことから始まり、1964年(昭和39年)4月に旧ブランド名であるICI石井スポーツとして東京・新大久保に1号店をオープンして以来、登山・スキー・アウトドア用品の専門店として広く知られるMt.石井スポーツ。
現在は北海道から福岡県まで全国に31店舗を展開し、多くのファンから親しまれています。
近年は店舗以外にも、登山学校を開校して講習会やツアー登山を実施したり、「山」というフィールドで一緒に学ぶ、楽しむことができる「石井マウンテンマラソン」を実施したりするなど、アウトドアを「より安全に」「より快適に」楽しむためのイベント運営にも注力しています。
同社が50年以上にわたって成長を続けてきた秘訣は、全国を複数のブロックに分け、ブロックリーダーの裁量によって地域に根ざした店舗作りを進めてきたことにあります。
その反面、ブロックや店舗ごとに独自のロゴや販促ツールが存在するなど、ブランドやマーケティング的な視点での統制にはいくつかの課題がありました。
そこで、同社では2016年に新社長が就任したことをきっかけに従来のブロック制度のあり方を見直して、本社を中心とした店舗や管理機能の標準化を進め、ブランドイメージを刷新することを決断しました。
執行役員 経営企画室 室長の川村尚弘氏は次のように話します。
「新たなブランド名である『Mt.石井スポーツ』にリブランディングする以前の当社は、専門性に特化し過ぎたゆえに、プロユース以外のごく一般的なお客様からは敬遠される傾向がありました。
そこで、本来のビジョンである“ハイキングからエベレストまで、多くのアウトドアを愛する人に喜んでいただける会社になる”を体現するため、ブランドやロゴを全社で統一し、マーケティングの効率を高めることにしました」

すべてのチャネルがシームレスに連携するマーケティングプラットフォームの再構築

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河野 賢太郎氏
オムニ事業部 WEB課 次長

ブランド統一と共に検討されたのが、コーポレートサイトと自社ECサイトの大幅なリニューアルです。
従来のコーポレートサイトはスマートフォンへの対応が遅れ、コンテンツ自体も必要最低限のものにとどまっていました。
オムニ事業部 WEB課 次長の河野賢太郎氏は「当社のお客様は50歳以上の年齢層の方が多いことから、これまでコーポレートサイトのスマートフォン対応は後回しになっていました。
またブロック制を採用していたため、店舗が独自に発信するブログなどのコンテンツは充実していた反面、組織全体としての情報発信はほとんどできていませんでした。
そこで、新たなコーポレートサイトは、Mt.石井スポーツが発信する“モノ”と“コト”、各店舗が発信する“情報”のトライアングルを強化するコンセプトで作り直すことにしました」と語ります。
また、自社で運営するECサイトの再構築も大きな課題でした。
リニューアル前の自社EC購買率は1%、楽天市場、Yahoo!ショッピングといったショッピングモールと合わせても、数%に満たない状況だったといいます。
「楽天市場とYahoo!ショッピングでは街中でも気軽に着ることができるカジュアルウェアを中心に扱っていましたが、自社ECサイトの品揃えもショッピングモールと同様だったため、専門性を求めて訪れるお客様のニーズとの間でミスマッチが生じていました」(河野氏)
コーポレートサイトと自社ECサイトの再構築を検討する過程で、もう1つの課題として浮上したのが、顧客とのエンゲージメントを高めるポイントプログラムです。
従来は5%の割引特典が付いた「会員カード」を物理的に発行するのみで、会員情報の取得・分析はほとんど行っていませんでした。
5%の割引特典は固定客の定着に貢献する一方、店舗でのオペレーションに課題があり、対費用効果が高いとはいえません。
なおかつ5%割引の対象外となるブランドや商品も多く、商品を購入した顧客の履歴情報も網羅的に集めることができませんでした。
「そこで従来の会員カードを1ポイント1円のポイントカードに改め、対象を全ブランドに拡大することで効果的に顧客情報を取得し、CRMと連動しながら顧客特性に適したマーケティング施策を実施したり、商品開発につなげたりすることを目標に掲げました」(川村氏)
こうしてブランドリニューアルと並行して、コーポレートサイト、自社ECサイト、ポイントプログラムの3つの再構築プロジェクトが始動しました。
「言うまでもなく、これらの3つのシステムはすべて密接に関連しています。
コーポレートサイトにアクセスしたお客様をシームレスにECサイトに誘導し、快適に買い物を楽しんでもらい、ECサイト、店舗と連動した新たなポイントプログラムによって、より多くのお客様にMt.石井スポーツのファンになってもらうことを目指しました」(河野氏)