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本社主導で立ち上がった3つのプロジェクトが始動したのは、2017年9月のことです。
導入パートナーの選定では、候補となる約30社をピックアップした中から、最終的に絞り込んだ4社に提案を依頼。
要件ごとの評価ポイントをスコア化した結果、最終的にビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(BTC)に支援を要請することに決定しました。
選定の理由としては、将来的なECの成長を視野に入れた提案であったこと、また倉庫システムなど周辺システムとの連携で必要となる追加開発でも支援が期待できたことなど挙げられます。
河野氏は「専門店ならではの情報発信を行うコーポレートサイトと、快適なショッピング体験を提供するECサイトの連動に重点に置いて評価した結果、BTCの提案が最も優れていると判断しました」と語ります。
本格的な開発は2018年1月からスタートし、コーポレートサイトのデザイン/サイト構造/コンテンツの全面的な見直し、ECサイトの開発、単体テスト、結合テスト、総合テストなどを経て2018年9月には新たなコーポレートサイトを先行して公開しました。
また、約1カ月後の2018年10月にはブランドの全面リニューアルと同時に、自社ECサイトと新たなポイントプログラムも予定通りに稼働に至っています。
「年末商戦という1年で最も注文が増える繁忙期前の10月がリニューアルのデッドラインでした。
極めて短期間のプロジェクトでしたが、BTCの力添えもあり、3つのプロジェクトの期限を何とか死守することができました」(河野氏)
コーポレートサイトの再構築では、初心者から上級者まで幅広い顧客層が楽しめるように、店舗スタッフの顔が見えること、また親しみやすいメディア系の記事がサイトの前面に表示されることを要件としました。
「パートナーであるBTCには、当初から、店舗スタッフが制作するブログ記事がお客様に届き、かつ店舗スタッフによる積極的なブログ記事の更新意欲を高めるための工夫をリクエストしていました。
以前のコーポレートサイトでは、ブログ記事が深い階層にあってたどり着きにくかったので、『登山学校』などのイベント系の記事とあわせて、トップページからアクセスしやすいレイアウトとしました。
さらにコンテンツを充実させるために、さまざまなアイデアを出し合った結果、最終的に1,000以上のページ数にのぼる“モノ”と“コト”の情報をお客様に届けることができるサイトとなりました」(河野氏)
並行して構築を進めた自社ECサイトでは、ベースにパッケージ製品(Orange EC)を採用して導入期間の短縮を図っています。
とはいえ、時間に限りがあるプロジェクトでは、さまざまな問題も発生しました。
システム部 部長の安藤和彦氏は次のように振り返ります。
「要件定義を終えた後、詳細設計完了部分から、適宜、実際の開発を進めることにより、開発期間の短さをカバーする対策を実施しました。ローンチ後、間もなくして、従来のブロック制に起因する障害が発生しました。
本社のシステム部が機能してなかった以前の環境では、ネットワークの管理も十分ではなく、2018年10月の新ブランドのローンチに合わせてネットワークを新しいECサイトのサーバーに切り替えた際には、接続のトラブルが発生しました。
ここは何とか2週間ほどで安定化させることができましたが、やはりITインフラの運用は本社の一元管理が不可欠です」(安藤氏)
今回のプロジェクトでは、ショッピングモールや顧客カルテシステムなどと連携するための追加開発も実施しています。
ショッピングモールの受注管理、在庫管理、ページ管理には専用のASPサービス(ネクストエンジン)を新たに採用し、顧客カルテシステムは自社でスクラッチ開発したものを利用しました。
新たに開発した会員制ポイントプログラムにおいても、2018年10月のローンチの際の運用で想定外のトラブルに見舞われました。
システム部 課長の上野真紀氏は次のように語ります。
「ポイントカードの登録方法は、Web登録と紙のカード登録の2種類を用意しました。
当初、Web登録はお客様サイドで来店前に申し込んでいただく予定でしたが、いざ蓋を開けてみると店頭でWeb登録をするお客様が多くいらっしゃいました。
店頭でWeb登録される方の数を実際よりも低く見積もっており、お客様が店頭でWeb登録を行うオペレーションのルールも厳密に作り込んでいなかったので、よりスムーズなポイントカード登録のため、サービスリリース後に運用プロセスの見直しを実施しました。
その際、店頭スタッフにWeb登録時の責任の分岐点(システムの問題か、お客様環境(スマートフォンの設定等)の問題か)を明確に示すことで、比較的早期に収束に向かいました。」
開発中はプロジェクト管理ツール(Backlog)を使って、作業の進捗や課題を管理していきました。
BTCとも頻繁にコミュニケーションを取りながら、課題が発生すればその都度クリアにしていったといいます。
「BTCには特にリリース直前はかなり無理な対応をお願いしたこともありました。
トラブルが発生した際には、常にユーザー目線で解決に向けた協議に応じていただけたことは非常にありがたかったです。
プロジェクト全体を通じて、いい意味で日本的なパートナー関係を築くことができましたし、適度な緊張感を保ちながらお互いに切磋琢磨できたと感じています。
今後もBTCにはフットワークを発揮してもらいながら、お互いにWin-Winの関係を築いていけたらと思います」(上野氏)