子育Techを通じて考える
文化的背景によるテクノロジー活用の違い

◆子育てTechとは

子育Techとは、「子育て×テクノロジー」を略した言葉で、ITやテクノロジーを活用して心身共にゆとりある子育てを可能とし、男女ともに働ける社会の実現を目的として提唱されたものです。子育Techが注目されるようになった背景として、共働き世帯数の増加と核家族化の進行などがあります。しかし、子育Techに対する期待が高まる一方で、日本では諸外国に比べてテクノロジーの活用が進んでいない現実があります。
本コラムでは、子育ての抱える様々な課題をテクノロジーで解決しようとする各国の取り組みについて解説します。

◆各国における子育てTech活用例

子育Tech先進国と言われている米国、一人っ子政策が緩和され子育てニーズが高まる中国、日本を対象として比較・考察しました。別表. 各国の文化的特徴と子育Tech活用を見ての通り、各国でテクノロジーの活用方法が異なることがわかります。

日本:子育てに関する情報のデジタル化が中心の補助的な活用
米国:子育ての体験そのものを変えることにつながる活用
中国:安全や衛生面など、地域の課題解決につながる活用

なぜ、このような差が生まれるのでしょうか?

日本では、子育てにITやテクノロジーを使うことに対してほとんどの方が便利だと考えていると同時に、手間をかけることが「愛情」だと考えています。一方、閉鎖的な状況下で子育てを行うことが多くなる傾向があり、その結果、他の人はどうしているのか?、同じ悩みを抱えている人がいるのではないか?という情報をシェアしてつながることに重きを置いたテクノロジー活用が進んでいます。
米国では、テクノロジーを育児に用いる文化は早い段階から醸成されており、BabyTechという業界領域で独自に発展しています。母親の代替として、効率・合理性を追求したテクノロジー活用といえます。
中国では、ここ数年で投資金額が増加しているBabyTech企業が増えており、市場シェアにおいて米国に次いで2位に位置しています。育児制度が充実しておらず、育児における課題は山積しており、テクノロジーに対する期待は大きいといえます。

 このように、子育Techといってもテクノロジーの活用方法は、その文化や社会的背景により大きく異なることがわかります。

◆テクノロジー活用時に重要なこと

 これらの事実から、いくつかの示唆が得られます。
1.テクノロジー活用の方向性や浸透度合いは、社会的背景や文化、子育ての価値観に大きく影響を受ける。米国の事例は先進的だが、必ずしも日本が追従するわけではない。
2.テクノロジードリブンではなく、各国の文化的背景まで踏み込んだ本質的な課題やニーズにフィットした解決策を考えることが重要である。
3.一方で、テクノロジーの活用が必ずしも善とされない領域においては、その障壁を減らすための国や地方公共団体へのロビー活動もテクノロジーを普及させるためには必要である。

◆最後に

昨今、デジタルトランスフォーメーション時代の到来により、多くの企業がデジタルテクノロジーの活用に頭を悩ませています。子育Techの事例が示唆しているように、テクノロジーはあくまで手段であり、その企業の段階や企業文化などにも踏み込んだ上で、活用方針を定めることが重要です。
 BTCは最先端のテクノジーを常に追究するとともに、そのテクノロジーがお客様の課題解決に有効なのか、本質を見極めた上でお客様の課題解決を支援していきます。それが競争優位性につながり、結果としてデジタルトランスフォーメーションの”先導役”になれると考えています。

引用・参考URL
子育Tech
(アクセス日:2019/9/1)
子育Tech、スタートアップ5社が提唱
(アクセス日:2019/9/1)
デジタルヘルス用語 BabyTech
(アクセス日:2019/9/1)
The ‘smart’ baby technology raising today’s children
(アクセス日:2019/9/1)
【子ども問題】日本が先進国に比べて子育てしにくい国である理由5つ
(アクセス日:2019/9/1)
BABYFUL 1年間で1,000億円超えの投資総額超えの投資額!! BABY & KIDS TECH
(アクセス日:2019/9/1)
CBINSIGHTS NEXT GEN TECHNOLOGY FOR THE NEXT GEN:BABY AND KIDS TECH
(アクセス日:2019/9/1)
中国における児童福祉と子育て支援に関する基礎研究
(アクセス日:2019/9/1)