前回の記事では、ウォークスルー調査のポイントや調査前の事前準備の重要性についてご説明しました。
今回は、最新のデジタルマーケティングからDX時代におけるウォークスルー調査についてご説明します。
最近のデジタルマーケティングの動向
最新のデジタルマーケティングの動向とはなんでしょうか?「コンテンツマーケティング」や「インフルエンサーの活用」など、近年様々な有用な施策が存在しますが、私たちは『One to Oneマーケティング』が最新のデジタルマーケティングトレンドだと考えています。
One to Oneマーケティングとは、「一人ひとりの消費者のニーズや購買履歴に合わせて、個別に展開されるマーケティング活動」です。従来では、大衆に向けたマスマーケティングが当たり前でしたが、IT化が進んだ現在ではパーソナライズされた情報を提供するのが主流となっています。顧客に合った情報を提供しコミュニケーションを取ることで、よりKPI/KGIの達成、コンバージョンへ繋げることができるのです。
顧客一人ひとりに最適な情報を最適なタイミングと方法でマーケティングを人的に行うおうとすると容易ではありませんが、マーケティングオートメーション(MA)を導入することにより、見込顧客情報の収集、情報の一元管理、顧客の育成、さらにホットリード(購買意欲の高い見込み顧客)の絞りこみ、各顧客のメール配信や広告出稿まで自動的に行うことができます。
DX時代のサイト課題調査
以上のことを踏まえて、サイト上でただ情報を担保しているだけでなく、顧客ごとのOne to Oneマーケティングがされているのか、One to Oneマーケティングを行うための顧客情報をWeb上で取得できているか、マーケティングの施策も見据えながらクロスチャネル的な視点で調査を行う必要があります。
とある企業の法人向け商材ページを仮で設定し、ご説明します。
課題①:商材ごとに紹介動画/導入事例のコンテンツを設置していましたが、トップページからの振り分けが悪く、それぞれの顧客が必要としているコンテンツまでたどり着くことが難しい状況でした。(他のお客様の事例でも、コンテンツまでたどり着けば中身はとても分かりやすいのにもったいない…!という場合がけっこうあります。)
課題②:コンテンツの振り分けが悪いのでここで離脱する顧客が多かったにも関わらず、離脱防止の施策や離脱した顧客の再訪を促す施策を実施していませんでした。また、課題③の内容と被りますが、コンバージョンの障壁が高く、コンテンツを読んだ見込みの高い顧客も離脱してしまい、成約を逃してしまっていました。
課題③:紹介動画/導入事例のコンテンツを見た後のコンバージョンが「問い合わせフォーム」か「コールセンターへの電話」しか用意されていないため、顧客が気軽に質問等の問い合わせを行うことが出来ず、商材成約数が伸び悩んでいました。
各顧客に合ったコンテンツの出し分けやコンバージョンの設置など、全体的にサイトがパーソナライズされておらず、顧客を逃してしまっていることが分かります。また、逃してしまった顧客も、顧客ごとに再訪を促す施策を打つ必要がありますね。
通常のウォークスルー調査であれば、課題①に対しては情報構造の見直し、課題②に対しては各ページのコンバージョン再設定、課題③に対してはコンバージョンに繋がる新規コンテンツの設置、などの施策が考えられます。もちろん上記の施策も有効ではあるのですが、近年のデジタルマーケティングにおいては施策漏れしてしまう可能性があります。
では、One to Oneマーケティングを意識したリニューアル後の顧客の流れと施策について確認してみましょう。
施策①:トップページから紹介動画/導入事例のコンテンツに遷移する際に、顧客に自身の業種や企業規模、ニーズなどを選択させ、各顧客にパーソナライズされたコンテンツのみを出し分ける施策を実施しました。離脱率は大幅に減少し、顧客も負担なく情報を入手することができます。
施策②:離脱率は減少したものの、まだ離脱している顧客を逃がさぬようMAを導入しました。MAでは、離脱した顧客がどんな商材に興味があるのか、どの情報まで入手していてどの情報が入手できていないのか、どの段階で悩んでいるのか、等を詳細に把握し、その顧客ごとに合った情報を、リタゲ広告/ブラウザPush/メールマガジン等のコンテンツを顧客に合った方法で発信していきます。たとえば、商材の概要しか知らない顧客には導入事例ページを勧め、導入事例ページを最後まで読んだ顧客にはデモ導入LPの情報を発信する、といった具合です。また、MAにある各顧客データとコールセンターを連携し、「この顧客の業種は○○で、××の商材に興味があり、どれほどのモチベーションであるか」等をコールセンターが把握することでその顧客に合った営業を行うことも可能です。
施策③:コンバージョンの障壁が高かった課題を、AIチャットボットで解消した例です。導入事例ページにAIチャットボットをスクロールに追随させることにより、顧客はいつでも気軽に問い合わせをすることが可能となりました。また、このチャットボットで入力した情報は全てMAの顧客データに溜まっていくので、上手く顧客を誘導し情報を引き出すことでより精度の高いOne to Oneマーケティングを行うことが可能となります。
サイト調査の際に、ただサイトをウォークスルー的に調査するのではなく、One to Oneマーケティングの施策が打てているかどうが、どこで打つべきかを考えながら調査することが重要であることが分かったと思います。
また、One to Oneマーケティングを行う際に重要なのがデータの収集と統合です。日本の企業は縦割り組織が多く、各部署で情報は集めているものの部署間での情報共有ができておらず、上手く情報が集まらない場合が多いです。
全社横断の情報収集、予算やKPIをどの部署に投資するか等の問題でマーケティングの足止めになっている場合も、そもそもどうマーケティングのデジタル施策を打てばいいか分からない、とにかくプロに任せたい場合も弊社でお受けしますので、ぜひご相談ください。