AWS Ambassador Global Summit 2022 報告 ~日本についてLTしてきました!~

こんにちは、BTCのクラウドCoE 熊谷です。

AWS Ambassadorの1人として、2022年の9/21~23にシアトルで開催されたAmbassador Global Summitに参加してきました。

弊社担当SAのAWS 江口さんとはしゃいでブレるワタシ。

こちらのブログでは、Summit内で行われたLT(Lightening Talks)について、書きたいと思います。

【目次】

  • 1. Ambassador Global SummitのLTとは
  • 2. “チームJapan”のLTのテーマ
  • 3. LTの内容
  • 4. 海外の方々の反応
  • おまけ

1. Ambassador Global SummitのLTとは

Ambassador Global Summitでは1日に2~3回LT枠が設けられており、
希望者が各々好きなテーマで10分LTをすることが出来ました。

100名以上のAmbassadorの中から、約10名のAmbassador達が立候補してLTをしました。
LTをするのもAmbassador、オーディエンスもAmbassadorというドキドキのイベントです。

2. “チームJapan”のLTのテーマ

日本からは、私とNRIネットコム株式会社 AWS Ambassador 上野史瑛さんの2人でLTをしました。
テーマは「日本人はなぜAWS資格取得に熱心なのか」

なぜこのテーマでお話をしたのかというと、
日本で行われた渡米前のキックオフで、AWSのパートナーアライアンス統括部の相澤さんから「日本人はとても資格取得に熱心で、海外の人達からするとクレイジー。なぜ日本がここまでAWSに夢中になっているのか物凄く気になってるらしい」と事前にお話いただいていたからです。

そこで、上野さんと2人で前半・後半に分かれて1枠(10分)使って話すことになりました。

LTの前半では上野さんから、
日本人がなぜ資格取得にとても熱心なのか、日本のIT企業の競争、AWS Japan独自の表彰制度(Top EngineerやAll Cert)や資格本の多さについて触れながらご説明いただきました。
上野さんのブログはこちらです→シアトルAWSで英語LTとインタビュー撮影してきた話

(私はカンペ見ながら喋ったのですが、上野さんは何も見ずに諳んじて話しててちょっと引きました。)

ちなみに上野さんが作成したLTの1ページ目はこんな感じです。So Cool 😉

3. LTの内容

LT後半の私のパートでは、私がこの1年間取り組んだ社員へのクラウド教育についてお話しました。
以下がアジェンダです。

  • Part 1. Company interest in current cloud technology
  • Part 2. Our interest in AWS Developer Bootcamp
  • Part 3. Typical Japanese Characteristics
  • Part 4. Practical Training Approach by BTC
  • Part 5. Positive effects achieved

Company interest in current cloud technology

私はプロジェクト支援業務の傍ら、Cloud CoEとして社員のクラウドリテラシー向上のための活動も行っています。
資格取得支援の施策を検討するだけでなく、自分が講師となってセミナーを開催することもあります。

冒頭では、そんな私の自己紹介も兼ねてBTCの抱える課題とクラウド教育を行う理由を説明しました。


(私がマツケンサンバ風金ぴかスパーク着流しを着ている重要な理由については「おまけ」で後述します)

実は最近、AWSのパートナー企業の教育担当者が集まり、それぞれの会社の取り組みについてシェアする育成Meetupというイベントが毎月開催されています。

このイベントは、大小さまざまな企業さんの取り組みと悩みをうかがえるとても有意義な場です。

各社共通して、「報奨金有りで資格取得を奨励するのは簡単。その先の実践力を養うためにはどうすれば良いのか」という悩みを抱えているようです。

そんな日本のIT企業を代表して喋りました。

Our interest in AWS Developer Bootcamp

IT企業の教育担当が自身もプロジェクト支援に従事しつつ、限られた時間を使って自分が講師となり、セミナーを継続的に開催するのは本当に大変です

そこで今年は初めての試みとして、
BTCでAWS SAの宇賀神みずきさんに、開発者向け実践力を鍛えるDeveloper Bootcampを開催していただきました。

BTCではCloud By Defaultの考え方に基づき、ほとんど全ての案件の基盤でクラウドを活用しています。
そのため全社員がある程度のクラウド知識を持つだけでなく、使いこなすことが求められています
BTCにとって、「実践力」はとても重要なキーワードです。

このセミナーは1.5時間の座学と3.5時間のハンズオンがセットになったセミナーで、最大6日間にかけて行われます。
セミナーの内容のカスタマイズについてもAWSさんが柔軟に対応してくださり、BTCでは「Serverless Architecture」と「CI/CD」を3日間かけて実施しました。

※座学の様子

約340人居るBTCのエンジニアのうち、約6分の1にあたる55人がこちらのBootcampに参加してくれました。

開催時期は6月で、新卒が各プロジェクトに配属されるタイミングです。
「”プロジェクトが忙しい”と新卒が言い始める前に何とかクラウドに興味を持ってもらうきっかけを作りたい」という思いから、この時期に開催しました。
このBootcampの意義をプロジェクトマネージャたちにも伝え、「是非新卒を参加させてほしい」と根回しし、結果20人以上の新卒が参加してくれました。

Typical Japanese Characteristics

前半の上野さんのパートでも「なぜ日本人が資格取得にクレイジーなのか」について、日本独自の制度などを俯瞰的にご紹介いただきました。

私のパートでは、海外の人が思わずクスッとなるような日本人の性格や何となく学歴・経歴を重視する雰囲気を紹介しました。

もちろん主観も含まれますので、真面目かつシニカルになりすぎないようアイスブレイクのような形で説明しました。

ベネディクトが『菊と刀』 という著書でサムライ時代の日本の「恥の文化」について紹介していますが、
「成功したいから」というポジティブな理由以上に、「失敗したくないから/失敗したと思われたくないから」というネガティブな理由で何かに頑張って取り組む日本人も多いのではないでしょうか。

実はBootcampに参加したBTC社員に「なぜあなたはAWS受験を頑張れたのか」というアンケートを取ったときに、
「同期が受かっているのに自分が落ちるわけにはいかないという思いで頑張った」
「プロジェクトメンバーに受験を明言している手前、合格しないわけにはいかないと思った」
と回答してくださった方が何人か居ました。

また(これは日本というより韓国・中国などの他のアジアの国々にも通じる考え方だと思いますが、)日本人は学歴や肩書を過度に重視し、テストが大好きという特性があると思います。

この日本人の特性は、Top Engineer/All CertsというAWS Japan独自の仕組みが成功している理由の1つだと考えます。

“Passing tests, achieving good status, and receiving recognition are very deeply connected to the lives of Japanese people.”
(テストに合格し、良い肩書を得て、認知度を向上させるという考え方は、日本人の生き方に深く根付いている)
と言ったときに、大きく頷いている外国の方がいらっしゃったのが印象的でした。
もしかしたら、彼の友人にそんな日本人が居たのかもしれません。

Practical Training Approach by BTC

その他、BTCの取り組みについて紹介しました。

社員のモチベーションを高めるために、毎月資格合格者の名前を全社員向けに発表したり、

私自身が講師となってハンズオンセミナーを開いたり、

いつでも誰でも私に質問が出来るよう、2か月間毎日朝昼晩もくもく会を開いたりしたことを紹介しました。

※これはとある週の私のカレンダーで、緑の部分のほとんどがもくもく会です。

22:00位まで新卒の質問に答えていた日もありましたが、AWS好きの社員と遅くまで話せるのが嬉しくて、私自身もとても楽しく取り組めました。

毎日は無理ですが・・・今後も継続出来たらなと思います。

Positive effects achieved
これら施策の結果として、2022年の8月末時点での資格取得者数が既に前年比(通年)の資格取得者数と比較して250%増となりました。

Bootcamp参加者は必ずDeveloper Associate(DVA)を受験しなくてはならないという参加条件があるため、DVAの取得者数が多いのは当たり前です。

特筆すべきは、DVAに合格した人たちのほとんど全員が、そのままSolution Architect Associateの取得を自然と目指し、実際に合格している点です。

現在、Associateを取得し終わった新卒たちが、Pro/Specialtyなどの上位資格取得を目指しています。
数名の熟練エンジニア達が24個のPro/Specialtyを取得した2020年の記録を今年超えられるか、私はワクワクして注視しています。

数もこだわりたいところですが、それ以上に若手がAWSを継続して勉強しているという事実が何より重要だと思っています。
「社員が自発的に、継続的に勉強する文化の醸成」というのがBTCの目標ですが、これは本当に難しいことで、この1年の単発の取り組みだけで実現できることではありません。

また継続的に何かに取り組む姿勢を持っているBTCの社員が、「資格取得」だけで満足しないように、そしてせっかく頑張った若手社員が「ペーパードライバー」などと後ろ指を指されるようなことがないよう、時間と予算が限られるなかで会社として何が出来るのか考えていくことも、大切だと思っています。

・・・という思いをLTで伝える時間などあるはずもなく
「私頑張ったんだし、私の給料も2.5倍になっても良いんじゃない?笑」というジョークでLTを締めくくりました。

4. 海外の方々の反応

最後のジョークが大いにウケて拍手喝采で終わったのですが、その後

Awesome! (最高!)
Your measures, LT structure, Humor, everything was so good!
(あなたの取り組み、LTの構成、ユーモア、全部良かった!)
We all enjoyed your presentation very much! (みんなとても楽しんでたよ!)

など、晩餐会や個別のSlackなどでポジティブな反応を多く頂きました。

やはり、日本がなぜこれだけAWSに熱いのか、海外の方の関心は高かったようです。
楽しんでもらえて私もハッピーになりました。 😀
今後も日本のAmbassadorの皆様と、Go Globalの精神で日本のプレゼンスを高める活動ができたら嬉しいです。

最後に、一緒にLTをしてくださった上野さん、本当にありがとうございました。
上野さんが作成したパワポがとてもきれいだったので、直前に自分のパートを大幅に修正しました。とても勉強になりました。

おまけ

LTでは、AWS 相澤さんが日本から持参したマツケンサンバ風金ぴかスパーク着流しを着て話しました。

Summit前に「小児がん患者の支援の為の#AmazonGoesGoldという取り組みを実施したいので金色の服を持ってきてほしい」と企画側から依頼があったのですが、日本人以外のほとんど多くの方が金ぴか衣装を持ってこなかったことで企画倒れになったようです

一度も着ないのはもったいないので、とりあえず着てLTをしました。
「私服かな」と思うくらい、蝶ネクタイがお似合いのTIS株式会社のAWS Ambassador 横井公紀さんと米国のAWS社員さんとの写真。

また私のミッションの一つに「BTCを覚えてもらうこと」というのがあったので、

When you hear the name BTC, you guys might think of Bitcoin, right !?
Unfortunately, our company name is losing a little bit to Bitcoin !!

とLTで紹介したところ、晩餐会でとあるAmbassadorの方から
I am from PwC, you are from BTC.
と声をかけられました。

おわり。