Webサイト運用時における「アクセシビリティ」の課題解決フロー

前回の記事では、「アクセシビリティ」がWebサイトに与える影響についてご説明しました。
今回は、Webサイトの運用フェーズから「アクセシビリティ」を改修していく流れについてご説明します。

目次

  • 1.運用フェーズから「アクセシビリティ」を改修していく流れ
    • ①アクセシビリティ方針の策定
    • ②ナビゲーション設計
    • ③コンテンツ・ビジュアル設計
    • ④実装・追加実装
    • ⑤本番公開・ガイドラインの策定
  • 2.各社のアクセシビリティにおける運用ガイドラインの事例
  • 3.まとめ

1. 運用フェーズから「アクセシビリティ」を改修していく流れ

前回の記事では1.「アクセシビリティ」がWebサイトの戦略策定に与える影響について、以下のようにご紹介しました。

  • ●情報設計
  • ●CVR設計
  • ●企業活動・中期経営計画
  • ●リスクヘッジ

では、「アクセシビリティ」は、上流工程での戦略策定に際して、どのような影響を与えるのでしょうか。

例えば、コーポレートWebサイトのリニューアル案件では、Webアクセシビリティを戦略・要件定義フェーズから検討するのが好ましいとされています。第2回の記事https://www.bigtreetc.com/column/web_accessibility_component/のように、「アクセシビリティ」はUXの価値提供の土台ですから、Webサイトのリニューアル時に策定する多くの施策に影響を及ぼします。一つ一つ確認してみましょう。

①アクセシビリティ方針の策定

●対応方針としてレベルAAが推奨されているが、初めての試みなので、今回はレベルAまでとし達成基準も一部準拠にすることにした。

②ナビゲーション設計

●アクセシビリティに配慮されたワイヤーフレームを作成して、ヘッダー・フッダー、ナビゲーションに関する箇所を設計する。

③コンテンツ・ビジュアル設計

●アクセシビリティに配慮されたワイヤーフレームを作成して、コンテンツエリア内への掲載物に関する箇所を設計する。 ※モジュールやコンポーネント単位だと尚良い。
●音声読み上げの際に、掲載物が正しい順序で漏れなく回遊できるように配慮する。

④実装・追加実装

●ナビゲーションの挙動や画像のalt等をガイドラインに沿って実装していく。
●動画を掲載する場合は、自動で再生されないよう調整し、再生するか否かをボタンで選択できるよう実装し、字幕や音声での補足が為されるよう配慮する。

⑤ 本番公開・ガイドラインの策定

●本番公開し、社内でガイドライン・ポリシーを作成・管理しながら、外部機関に証明書の発行を依頼する。
●運用フェーズに入ったら、未対応の箇所を実装していく。

図1. 運用フェーズから「アクセシビリティ」を改修していく流れ
図1.運用フェーズから「アクセシビリティ」を改修していく流れ

2.各社のアクセシビリティにおける運用ガイドラインの事例

T系の大手企業の中には、アクセシビリティ専任の担当者や専門の部署を設けるなどの体制が増えています。
実は、アクセシビリティ方針を公開している会社は、世界では日本が一番多いです。法的なリスクを抱えざるを得ない海外では、Webサイト上で自社の「アクセシビリティ方針」を公開している会社はまだ意外と少ないため貴重です。
公開されている「アクセシビリティ方針」の中で、特に優れた企業の取り組みを紹介します。

株式会社三井住友銀行 アクセシビリティガイドライン[1]
•三井住友銀行のアクセシビリティポリシーおよびガイドライン項目を掲載しています。達成基準ごとの進捗も網羅しており、実例と解説とともに紹介しています

コニカミノルタ株式会社 ウェブアクセシビリティ方針[2]
•コーポレートサイトに「アクセシビリティの品質基準」を掲載しています。単に「アクセシビリティ」に準拠した旨だけでなく、今後の方針や試験の方法も開示しておりとても丁寧です。

Ameba Accessibility Guidelines[3]
•CyberAgentのうち、Amebaのサービスを利用するユーザーのみを対象としたアクセシビリティのガイドラインを掲載しています。サービス単位でガイドラインを構築しているのは大手企業ならではといえるでしょう。

ソフトバンクグループ株式会社 アクセシビリティ指針[4] [5]
•ソフトバンクグループが取り組んでいる「Webアクセシビリティ」の指針と詳細に加えて、視覚・聴覚・身体機能サポート用のサイトも併設して掲載しています。企業の規模が大きくなるほどに、「アクセシビリティ指針」も細分化されていくようです

3.まとめ

以上、Webサイト運用時における「アクセシビリティ」の課題解決フローについてご説明いたしました。

専門部署を構えていない企業様には、ガイドラインの作成段階からコンサルティングや提案を受けた方が良いでしょう。
BTCでは、デジタルマーケティング領域を中心として、上流から下流まで幅広くご支援が可能です。Webサイト構築のコンサルティングをはじめ様々な手法による分析を基に、戦略策定・最終的なアウトプットまで含めたデジタルマーケティング支援を行っております。
興味を持たれた方は、是非とも[BTCまでお問い合わせ: https://www.bigtreetc.com/contact/]ください。

[1] https://www.smbc.co.jp/accessibility/guidelines/index.html
[2] https://www.konicaminolta.com/jp-ja/siteinfo/accessibility.html
[3] https://openameba.github.io/a11y-guidelines/
[4] https://www.softbank.jp/help/sitepolicy/accessibility/
[5] https://www.softbank.jp/mobile/support/iphone/accessibility/

*次回、「アクセシビリティ」に関するTipsを紹介いたします。