BTC リサーチパースペクティブ Vol.1 ポストファイナンス3PL

ファイナンス3PL

周知のように3PL(Third Party Logistics)とは、物流業務(調達物流、工場内物流、販売物流(在庫管理・輸配送管理)、静脈物流(産業廃棄物、返品、修理品))を第三者(多くの場合、運送業者)に委託することである。
物流機能だけである3PLに金融機能を付加したものがファイナンス3PLと呼ばれており、日本でファイナンス3PLが始まったのは2009年とされている*1

ファイナンス3PLとは、物流事業者やフォワーダ(乙仲)が、荷主のもつ債権を買い取り、早期資金化するサービスで、物流金融とも呼ばれる。物流事業者が買い取った債権は、保険会社へ再譲渡(リファクタリング)することにより、リスクを軽減している。
物流事業者が債権を買い取るのではなく、金融機関が買い取る場合は、サプライチェーンファイナンス(SCF)もしくは、金融物流と呼ばれることもあるが、明確な使い分けは確立されていないので、本稿ではファイナンス3PLとして述べていく。なお、ファイナンス3PLといったサービスを利用するのではなく、自社で債権の買い取りを金融機関に依頼することをファクタリングと呼ぶ(この用語の使い分けも明確なものはなく、ファイナンス3PLも含めてファクタリングと呼ぶ場合もある)。

4PL

一方、これまで概念的であった4PL(4th PL)もairhouse*2というスタートアップが出てきて、社会実装された。
4PLとは、取扱高や与信などの関係で直接3PLを利用できなかったSMB(Small to Medium Business:中堅・中小企業)を4PLが介在することで3PLを利用できるようにしたサービスで、今後、成長が期待されるD2C(Direct to Consumer:製造者がダイレクトに消費者と取引をする)には欠くことのできないサービスである。

ファイナンス4PL

4PLの社会実装に伴い、ポストファイナンス3PL、つまりファイナンス3PLを4PL化したファイナンス4PLの実現が見えてきた。ファイナンス4PLは、単に3PLを利用できない事業者に、物流機能と金融機能を提供するだけでなく、即時決済の可能性を示唆しており、各ステークフォルダのリスクをより軽減する。

ファイナンス4PLの実現にあたっては、みずほ銀行ら*3が従来のサプライチェーンを変えずに、つまりファイナンス3PLとして、物流業界の輸配送代金の早期資金化を実現するために、ブロックチェーン技術を使ったように、ファイナンス4PLにもブロックチェーンをプラットフォームとして利用することで信頼性を担保する必要がある。

また、グローバルな物流網から最適な配送ルートを決定するためには高速リアルタイム処理が必要であり、リザバーコンピューティング(再帰的ニューラルネットワークの特殊なモデルを一般化した概念)のような技術が実用化されれば、ファイナンス4PLのサービスがリリースされるのも遠くはない。なお、リザバーコンピューティングについては、稿を改めに言及したい。

注釈

※以下外部サイトとなります。

*1:ファイナンス3PL
e-LogiT.com 物流ニュース 「エフロジ・フィナンシャル・パートナーズ/日本初の“ファイナンス型3PL” サービスを開始」
https://www.e-logit.com/loginews/20090604×04.php

*2:4PL airhouse
https://www.airhouse.io/

*3:みずほ銀行ら
DIGITAL X 「みずほ銀行、物流の輸配送代金の早期資金化に向けたブロックチェーン技術を実証実験」
https://dcross.impress.co.jp/docs/usecase/002062.html